動物保護に関する基本用語と、よくある質問への回答をまとめました。
保護犬猫を理解するための第一歩として、ぜひご活用ください。
28件の用語
動物愛護センターや保健所に収容された犬猫が、譲渡先が見つからない等の理由で致死処分されること。環境省の統計では「殺処分」を「譲渡・返還が困難な個体の処分」「病気や攻撃性等のある個体の処分」「引取り後の死亡」の3区分に分類している。2024年度の犬猫殺処分数は6,830頭で、ピーク時(2004年度・約39万頭)から98%以上減少した。
関連記事: 日本の犬猫殺処分の現在地正式名称は「動物の愛護及び管理に関する法律」。1973年制定、直近では2019年に大幅改正された。動物取扱業の規制、虐待の罰則強化、マイクロチップ装着義務化などを定める。改正のたびに規制が強化されており、2019年改正では数値規制(飼養施設の広さ・従業員1人あたりの飼養頭数上限)が初めて導入された。
関連記事: 動物愛護法の解説2019年の動物愛護管理法改正で導入された、動物取扱業者が遵守すべき具体的な数値基準。飼養施設の広さ(犬:体長の2倍×1.5倍以上)、従業員1人あたりの飼養頭数上限(繁殖犬15頭、販売犬20頭)、繁殖回数の上限(犬は生涯6回まで、交配時の年齢上限6歳)などが定められている。
関連記事: 動物愛護法の解説営利目的で動物の販売、保管、貸出し、訓練、展示、競りあっせん、譲受飼養を行う事業者。ペットショップ、ブリーダー、ペットホテル、トリミングサロンなどが該当する。都道府県知事への登録が必要で、動物取扱責任者の配置が義務付けられている。
非営利で動物の譲渡、保管、貸出し、訓練、展示を行う事業者。動物保護団体やシェルターの多くが該当する。都道府県知事への届出が必要。第一種と異なり「登録」ではなく「届出」であるため、規制の強度が異なる。
動物愛護管理法第35条に基づき、都道府県等が飼い主から犬猫を引き取る制度。2012年改正で、終生飼養の原則に反する引取りを拒否できるようになった。引取り数は減少傾向にあるが、依然として年間約5万頭が行政に引き取られている。
生後56日(8週間)を経過しない犬猫の販売を禁止する規制。2019年改正で完全施行された。幼齢期に母犬・母猫や兄弟から引き離されると、社会化不足による問題行動のリスクが高まるため、動物福祉の観点から導入された。欧州では既に標準的な規制。
関連記事: 動物愛護法の解説ドイツの自治体が犬の飼い主に課す地方税。年間50〜300ユーロ程度で、自治体によって税額が大きく異なる。2023年の犬税収入は全国で約4.14億ユーロ(約680億円)に達するが、その大部分は一般財源に組み込まれ、動物保護には直接使われていない。
関連記事: ティアハイムの光と影野良猫を捕獲(Trap)し、不妊・去勢手術(Neuter)を施した後、元の場所に戻す(Return)活動。殺処分に頼らず野良猫の個体数を管理する方法として広く実施されている。手術済みの猫は耳先をV字にカットして識別する(さくらねこ)。
TNR活動で不妊・去勢手術を受けた猫のこと。手術済みの目印として耳先をV字にカットする。この耳の形が桜の花びらに似ていることから「さくらねこ」と呼ばれる。再捕獲による不要な手術を防ぐ目的がある。
地域住民の合意のもと、不妊・去勢手術を施し、特定の場所で給餌・管理される野良猫。環境省のガイドラインでは「地域の合意」「不妊去勢手術の実施」「適切な管理」の3要件を満たすものと定義。野良猫問題と殺処分削減の両立を目指す取り組み。
ドイツ語で「動物の家」を意味する民間の動物保護施設。ドイツ全土に約1,418カ所存在し、犬・猫だけでなく爬虫類や野生動物も収容する。「殺処分ゼロ」の象徴として語られることが多いが、実際には安楽死も行われており、慢性的な資金不足と過密問題を抱えている。
関連記事: ティアハイムの光と影保護犬猫を一時的に自宅で預かるボランティア活動、またはその預かり主のこと。「一時預かり」とも呼ばれる。シェルターの収容圧力を軽減し、家庭環境での社会化を促進する効果がある。譲渡率の向上にも寄与する。
保護犬猫と里親希望者が直接会える場を提供するイベント。動物愛護センターや保護団体が主催する。トライアル期間(1〜2週間の試し飼い)を経て正式譲渡となるケースが多い。近年はオンライン譲渡会も増加している。
関連記事: 保護犬猫の譲渡成功事例正式な譲渡の前に、1〜2週間程度の試し飼い期間を設ける制度。保護犬猫と里親候補の相性を確認し、飼育環境に問題がないかを見極める。トライアル期間中に問題が生じた場合は、保護団体に返還できる。譲渡後の返還率を下げる効果がある。
飼い主が適切に管理できないほど多数の動物を飼育し、飼育環境が破綻した状態。不妊・去勢手術を怠った結果、繁殖が制御できなくなるケースが多い。近年は高齢者の孤立や精神的な問題(アニマルホーディング)との関連も指摘されている。行政による一斉保護が行われることがある。
直径約2mm、長さ約12mmの円筒形の電子標識器具。犬猫の皮下に埋め込み、専用リーダーで15桁の個体識別番号を読み取る。2022年6月から、ブリーダーやペットショップで販売される犬猫へのマイクロチップ装着が義務化された。既に飼育している犬猫への装着は努力義務。
関連記事: マイクロチップは命を救えるか繁殖能力を除去する外科手術。メスの卵巣・子宮摘出を「不妊手術(避妊手術)」、オスの精巣摘出を「去勢手術」と呼ぶ。望まない繁殖の防止だけでなく、生殖器系の疾患予防や問題行動の軽減にも効果がある。保護犬猫の譲渡時には手術済みであることが一般的。
感染症予防のための予防接種。犬は狂犬病ワクチン(法律で義務)と混合ワクチン(5種〜9種)、猫は混合ワクチン(3種〜5種)が一般的。保護犬猫は医療履歴が不明なことが多いため、収容時にワクチン接種を行うのが標準的な対応。
蚊を媒介として感染する寄生虫疾患。犬糸状虫(フィラリア)が心臓や肺動脈に寄生し、重症化すると死に至る。月1回の予防薬投与で防げるが、保護犬は予防歴が不明なため、譲渡前の検査が重要。治療は高額かつリスクを伴う。
犬猫が人間や他の動物、さまざまな環境に慣れるプロセス。犬の社会化期は生後3〜14週齢、猫は2〜7週齢とされる。この時期に十分な社会化を受けなかった保護犬猫は、恐怖反応や攻撃性を示すことがある。成犬・成猫でも段階的な社会化は可能だが、時間と忍耐が必要。
関連記事: 保護犬猫の飼育ガイド飼い主と離れることに対して過度な不安を示す行動障害。過度な吠え、破壊行動、不適切な排泄などの症状が見られる。保護犬に多く見られ、過去の遺棄経験やシェルター環境でのストレスが原因となることがある。行動療法と環境調整で改善可能。
関連記事: 保護犬猫の飼育ガイド飼い主にとって望ましくない犬猫の行動の総称。無駄吠え、噛みつき、マーキング、家具の破壊などが含まれる。保護犬猫の場合、過去のトラウマや社会化不足が原因であることが多い。問題行動は飼育放棄の主要因の一つであり、適切な行動カウンセリングで改善できるケースが多い。
動物を飼い始めたら、その動物の命が終わるまで責任を持って飼い続けること。動物愛護管理法第7条で飼い主の責務として明記されている。高齢化や転居、アレルギーなどを理由とした飼育放棄は、終生飼養の原則に反する。
動物福祉。動物が身体的・精神的に健康で、自然な行動を表現できる状態を確保すること。国際的には「5つの自由」(飢え・渇きからの自由、不快からの自由、痛み・傷害・病気からの自由、正常な行動を表現する自由、恐怖・苦悩からの自由)が基本原則とされている。
関連記事: 世界の動物福祉から日本を見る1965年にイギリスのブランベル委員会が提唱した動物福祉の基本原則。(1)飢え・渇きからの自由、(2)不快からの自由、(3)痛み・傷害・病気からの自由、(4)正常な行動を表現する自由、(5)恐怖・苦悩からの自由。世界中の動物福祉政策の基盤となっている。
関連記事: 世界の動物福祉から日本を見る利益優先で犬を大量繁殖させる悪質な繁殖業者の俗称。劣悪な環境で母犬を酷使し、遺伝性疾患のリスクが高い子犬を大量に生産する。フランスでは2024年からペットショップでの犬猫販売が禁止され、パピーミルの需要を断つ政策が進んでいる。
関連記事: 消えゆくペットショップ殺処分を行わない方針の動物保護施設。アメリカでは「保護率90%以上」をノーキルの基準とするBest Friends Animal Societyの定義が広く使われている。ただし、治療不可能な病気や重度の攻撃性を持つ動物の安楽死は「ノーキル」の範囲外とされることが多い。
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